ウェビナーの終わりと始まり。2026年以降に起こると想定されるウェビナー施策の変化。

2025/09/29

コロナ禍を経て、ウェビナーはBtoBマーケティングにおける主要施策として定着しました。多くの企業が一定のリード獲得に成功し、低CPAでの集客を実現しています。しかし、市場の成熟とともに、ウェビナー施策を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。

私自身、この2年間で100件以上のウェビナーに関わり、明確な変化の兆しを感じています。

本記事では、現場で実際に経験した変化を踏まえ、2026年以降のウェビナー施策がどう変わるのか、そして今から何を準備すべきかを具体的に解説します。「このままでは上手くいかない」と感じている方に、明日から取り組める具体的な指針をお届けします。

また、弊社ではウェビナー運営を含むリード獲得~ナーチャリング、商談獲得までの代行支援を行っております。弊社の支援では、戦略立案だけではなく、施策の実行まで行うので、社内工数が少なくても成果をだすことができます。

もし、BtoBマーケティングとセールスに課題をお持ちの方はぜひ、お気軽にご相談ください。
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昨今のウェビナー施策

現在のBtoBマーケティングにおいて、ウェビナーは最も効率的なリード獲得チャネルの一つとして機能しています。オンライン開催の利便性と低コスト運営が相まって、多くの企業が積極的に活用している状況です。

まずは、昨今流行っているウェビナー施策の現状を見ていきます。

大型カンファレンスで多くのリード獲得が見込める

大型カンファレンスとは、10社〜20社ほどの複数企業が共同して開催する大規模なオンラインウェビナーです。

大型カンファレンスでは、複数のセッションを用意し、集客力のある企業や著名な登壇者を招くことで、1回の開催で数百から数千のリードを獲得できるケースも珍しくありません。

>>>例:弊社主催のカンファレンス

特に業界の最新トレンドや事例を網羅的に扱うことで、幅広いターゲット層にアプローチできる点が強みです。参加者にとっても、1日で複数の情報を効率的に収集できるため、参加ハードルが比較的低い傾向にあります。

また、カンファレンスの主催は、他ウェビナーに比べて多くのリードにアプローチすることができるので、リード獲得だけではなく認知といった面でも効果を発揮しやすい施策となります。

実際に弊社でも3ヵ月に1回以上は、大型カンファレンスを主催したり、他社主催の大型カンファレンスに参加したりしており、実際に1開催で500〜最大2000件のリードを獲得できる主力チャネルとなっております。

複数社との共催ウェビナーを回すことで一定のリード獲得が見込める

共催ウェビナーは、2社〜4社ほどの複数企業が共同して開催するウェビナーです。カンファレンスと比較して獲得するリード数は少ないですが、開催をするリソースもそこまでかからないですし、カンファレンスよりもより深いトークテーマを組みやすいことが特徴です。

>>>例:弊社主催の共催ウェビナー

また、テーマによってはリード獲得だけではなく、商談獲得も見込めるのでカンファレンスと比較して幅広い用途として活用することができます。

実際に弊社では、月2〜3回ほど3〜4社の共催ウェビナーを実施しており、毎月150〜200のリード獲得と20件ほどのアポイントを共催ウェビナー起点で獲得しております。

AI×〇〇のテーマの集客力が強い

近年では、生成AIの台頭により「AI×業務効率化」「AI×マーケティング」などのテーマは非常に高い集客力を持っています。

トレンド性が強いので、商談にすぐに繋がるわけではないですがリード獲得といった面においては、非常に効果を期待できるテーマです。

ただし、このテーマは競合も多く、差別化が徐々に難しくなりつつあることも事実です。それでも現時点では、AIというキーワードを含めるだけで集客数に明確な違いが生まれています。

少ないコストで回せるのでCPAが低いチャネルとして活躍している

ウェビナーは、会場費や交通費が不要なため、オフラインイベントと比較して大幅にコストを削減できます。ウェビナーツール等の費用はかかりますが、一度環境を整えれば繰り返し活用可能です。CPAは業界や内容によりますが、ホリゾンタルなサービスであれば、基本的に低CPAでリードを獲得できるチャネルだといえます。

さらに、録画コンテンツをアーカイブ配信やオンデマンド視聴用に再利用することで、1回の開催から複数回のリード獲得機会を創出できます。

実際に弊社では、Zoomウェビナーの月額費用で1万円代しかかかっておらず、社内人件費をいれなければCPAはほぼ0円でリードを獲得しており、弊社ではリード獲得においてなくてはならない施策といえます。

他施策と比較しても人的リソースも最小限で運営できるため、特に中小企業やスタートアップにとって取り組みやすい施策であり、BtoB業界においてウェビナーは一般的な施策となりつつあります。

実体験から見る現在のウェビナーの市場

ウェビナー市場の成熟に伴い、施策の効果に変化が現れ始めています。

私も2年間以上ウェビナー施策に取り組んでいますが、2023年と2025年を比較するとウェビナーを取り巻く環境は大きく変化してきていると感じています。

毎月ウェビナーを実施している私の個人的な視点から、現在のウェビナー市場は下記のような特徴があると考えております。

  • ウェビナーが一般的な施策となりウェビナーが飽和している

  • 似たようなテーマのウェビナーが多い

  • コンテンツがありふれたことで質の悪いウェビナーも増えた

ウェビナーが一般的な施策となりウェビナーが飽和している

近年では、ウェビナー施策に取り組む企業が非常に増えました。そういった背景から、ウェビナー自体が飽和しており、ウェビナーの集客が分散してしまい、集客をすることの難易度が上がっていると感じています。

ウェビナーの集客は一般的にハウスリストへのメルマガになります。ウェビナーが飽和してくると、多くの見込み客は毎日様々な企業から送られることになり、その分相対的に自社の集客数が減ってしまうのです。

私が前職でウェビナーの運用をしていた際には、どのようなテーマでもウェビナーを実施すれば一定のリード数が集まっていましたが、近年では集客できるテーマは絞られてきています。

そのため、より企画力の重要性が増しており、ウェビナーをやれば簡単に集客できるといった時代は終わりに近づいているのではないかと考えております。

似たようなテーマのウェビナーが多い

先ほどウェビナーが飽和しているという話をしましたが、ウェビナーのテーマ自体も飽和してきております。皆さんも「このテーマなんか見たことあるテーマだな...」というウェビナーをよく目にするのではないでしょうか。

例えば、最近では「AI×〇〇」のようなテーマはよく見かけますよね。

参加者から見れば、タイトルだけでは内容の差別化が分かりにくく、どれに参加すべきか判断が難しいでしょう。私がユーザー側の目線として「どれも同じような内容だろう」と参加を見送るケースも増えてしまっております。

そのため、「企画」や「タイトル」「登壇者」など他社とは違う「独自性」がより重要性を増してくるのではないでしょうか。

コンテンツがありふれたことで質の悪いウェビナーも増えた

ウェビナー施策に取り組む企業が増えたこともあり、圧倒的にウェビナーコンテンツの数が増えました。ただ、ウェビナーコンテンツが増えたことと比例して質の低いコンテンツも増えています。

たとえば、下記のようなコンテンツが挙げられます。

また、ウェビナー慣れしている視聴者も増えてきているので、内容の薄いコンテンツでは集客することは本当に難しくなっていますし、ブランドの毀損となってしまうケースもあります。

弊社ではウェビナー運営を含むリード獲得~ナーチャリング、商談獲得までの代行支援を行っております。弊社の支援では、戦略立案だけではなく、施策の実行まで行うので、社内工数が少なくても成果をだすことができます。

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2026年以降に想定されるウェビナーの変化

現在の市場動向を踏まえると、2026年以降、ウェビナー施策は大きな転換期を迎えると予測されます。これまでの「とりあえず開催すればリードが獲得できる」という状況は終わり、より戦略的で差別化されたアプローチが求められます。

参加者の目は肥え、単なる情報提供では満足されなくなるでしょう。

本章では、2026年でウェビナー施策が具体的にどう変わっていくのかといった個人的な見解を紹介していきます。

今までのようなカンファレンスの集客数が落ちる可能性が高い

大型カンファレンスは、これまで安定した集客を誇ってきましたが、2026年以降は集客数の減少が予想されます。参加者が「またこのパターンか」と感じ始めており、新鮮味のないセッション構成では興味を引けなくなっています。

特に、表面的なトレンド紹介や一般論に終始するセッションは敬遠される傾向が強まるでしょう。また、複数のカンファレンスが同時期に開催されることで、参加者の時間が奪い合いになります。

企業の知名度だけに頼った集客は限界を迎え、独自性や具体性が問われる時代になります。「参加する価値」を明確に示せないカンファレンスは、想定の半分以下の集客に留まる可能性もあるでしょう。

独自性の高いコンテンツがなければリード数とエンゲージメントが落ちる

汎用的なテーマや表層的な情報提供では、リード獲得数自体が減少し、獲得できたリードのエンゲージメントも低下します。

参加者は、他では得られない独自の知見や、自社の実践に直結する具体的なノウハウを求めています。

例えば、「一般的なSEO対策」ではなく「SaaS企業が実践した特定業界向けSEO戦略と3ヶ月での成果」といった具体性が必要です。

自社の失敗事例を含む生々しい実体験や、データに基づいた独自の分析結果など、他社には真似できないコンテンツが差別化の鍵となります。独自性がないウェビナーは、参加者の記憶に残らず、その後のナーチャリング効果も期待できなくなるでしょう。

ウェビナーに参加したからといってすぐにMQLにはならない

これまでは、ウェビナー参加とアンケート回答をもってMQLと判断するケースが多く見られました。しかし、情報収集目的の参加者が増加する中、参加行動だけではMQLの基準として不十分になります。

実際、ウェビナー参加後に商談化する割合は年々低下しており、2025年時点で2〜5%程度という企業も増えています。

2026年以降は、ウェビナー参加を「関心の入口」と位置づけ、その後の行動パターンを総合的に評価してMQLを判断する必要があります。参加回数、資料ダウンロード、ウェブサイト訪問頻度など、複数のタッチポイントでのエンゲージメントを組み合わせた評価が標準となるでしょう。

2026年以降に実施すべきこと

変化に対応するためには、従来のウェビナー運営からの脱却が必要です。

本章では、2026年以降に成果を出し続けるために、今から取り組むべき具体的なアクションを4つの観点から解説します。

自社の強みを出せる独自性の高いテーマや企画立案に注力する

2026年以降のウェビナーは、以前よりもリードと商談の獲得難易度が上がっていくことが予想されます。そのため、今後は、より「企画」の重要性が増してきます。

企画を設計する際には、「独自性」と「具体性と実用性」の観点が重要になります。

また、独自性を出しやすいウェビナーの例は下記になります。

  • 実際に成果のでた支援の事例や自社施策の事例

  • 世の中にはない自社独自のナレッジ

  • 一般的だと言われている内容へのアンチテーゼ的なテーマ

  • 普段メディアにでないが権威性のある方の登壇

  • 他社よりもクリエイティビティでリッチなウェビナー

  • 専門家同士のパネルセッション など

上記のように独自性の出し方は、「自社の独自ナレッジ」を話すことだけではありません。登壇者や事例、セッションの形式、クリエイティブなどでも独自性を出すことができます。

まずは、3C分析視点を持って自社はどこで独自性を出すべきなのかを検討していきましょう。

自社のブランドを想起してもらうことを意識して出口までを設計する

ウェビナーをリード獲得の「点」として捉えるのではなく、ブランド構築の「線」として設計します。

ウェビナー後、参加者が課題に直面した際に「あの会社に相談してみよう」と想起されることが理想的なゴールです。そのためには、ウェビナーを単一のチャネルとして「点」捉えるのではなく、その後の導線まで考えてウェビナーを「線」として設計する必要があるのです。

そのため、ウェビナーは、直接商談を獲得するラストワンマイルだけではなく、関係構築の起点と位置づけしていくことが望ましいでしょう。すぐに成果がでるとは限りませんが、最終的に大きな成果や資産となり返ってきます。

アンケート情報だけではなく総合的にMQLを判断する

MQL判定の基準を、ウェビナー参加とアンケート回答だけから、複合的な行動指標に移行する必要があります。

というのも、ウェビナー慣れしている視聴者も多く、ながら見であったり本当は検討度が高いが不参加のリードも存在するからです。

そのため、アンケート回答情報だけで顧客の検討状況を把握するのではなく、あくまでもアンケート回答の内容は、リード情報をエンリッチメントして、より詳細の1to1アプローチをする際の情報源として活用することが望ましいのです。

アンケート情報以外に参考にすべきものは、下記の情報になります。

上記の情報をMAツールやCRMツールで管理、トラッキングを行い1顧客ごとにアプローチすべき顧客なのかどうかを測る必要があります。

そのため、必ずしもウェビナーに参加したかが重要なのではありません。

今までは不参加の顧客に対してアプローチをしないケースが多かったでしょう。ただ、ウェビナーだけで判断をしなければ、不参加者にもアプローチできる可能性があり、商談獲得の機会損失を大きく減らすことができます。

弊社でも、他のリード情報からウェビナー不参加者にもアプローチするケースはあり、実際に商談を獲得することができております。

ウェビナーだけではなく他コンテンツやチャネルも絡めて複合的に戦う

ウェビナーを「線」で戦い、複合的にMQLを選定するには、ウェビナー以外のチャネルやコンテンツを豊富に保有しておく必要があります。

例えば、下記が挙げられるでしょう。

例えば、ウェビナーで扱ったテーマを深掘りしたホワイトペーパーを用意し、参加者にダウンロードを促すことも有効でしょう。また、ウェビナー参加者限定のオフラインイベントや少人数制のワークショップを開催することで、より深い関係を構築することも有効です。

各チャネルの特性を活かし、ターゲットの購買ジャーニーに沿った複層的なタッチポイントを設計することが、2026年以降の成功の鍵となります。

まとめ

ウェビナー施策は終わるのではなく、新たな段階へと進化します。2026年以降も有効なマーケティング手段であり続けますが、その前提条件は大きく変化します。

市場の飽和と参加者の目の肥えにより、「開催すれば集まる」時代は確実に終わりを迎えます。しかし、これは悲観すべき変化ではありません。真に価値あるコンテンツを提供する企業にとっては、むしろ差別化のチャンスです。

独自性の高いテーマ設定、ブランド構築を見据えた出口設計、複合的な行動指標によるMQL判定、そして他チャネルとの連携を実践することで、ウェビナーは単なるリード獲得ツールから、顧客との長期的な関係を構築する戦略的資産へと変貌します。

変化への対応は、今日から始められます。まずは次回のウェビナー企画で、「自社にしか語れないこと」は何かを問い直すことから始めてみてください。2026年に向けた準備は、すでにスタートしています。

また、弊社ではウェビナー運営を含むリード獲得~ナーチャリング、商談獲得までの代行支援を行っております。弊社の支援では、戦略立案だけではなく、施策の実行まで行うので、社内工数が少なくても成果をだすことができます。

もし、BtoBマーケティングとセールスに課題をお持ちの方はぜひ、お気軽にご相談ください。
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